妻との関係

妻は地方公務員をしており、ぼくがまだ働いていたときの月収と比べても多くの額をもらっていた。その分、激務だが。

 

ぼくは仕事を辞め、彼女と暮らすようになってから、炊事をするようになっていた。一人暮らしが長かったし、料理も好きだったのでまったく苦にならなかった。

 

主夫のような生活を続けて二ヶ月。彼女の苛立ちはMAXになっていた。「この二ヶ月、私は仕事でいろいろなことをこなしてきたけれど、あなたは何をしていたの?」と言われてしまった。確かにこの2ヶ月、ぼくの生活は生産性が皆無だった。ただ、家のことをしていたことはもう少し評価してほしかったが、彼女は違ったらしい。妻も夫も働いて家計を支えていく、というイメージがあったようだった。そうしてみれば、ぼくはその理想にはまったく適っていないのであった。

 

それからぼくは焦ってパートを探すようになった。正社員の求人も探した。だが、田舎なのでまともな求人はなかった。選り好みしている、とも言われた。仕事なのだから、つらいことも我慢してするべきだ、と言われた。

 

この頃から妻と過ごすのがつらくなった。居場所が無いように感じた。家に帰りたくなくかったが、食事を作らねば、という義務感で帰って、ぎこちない笑顔で妻の帰りを迎えた。

 

当然、夜の生活も減った。誘っても断られたし、男としての魅力が無くなったとも言われた。悲しかった。

 

 

 

ぼくは医者ではないが、鬱病についてはいろいろと本を読んで調べた。鬱病は脳の病気で、神経伝達物質がうまく伝わらないことで起こる。気の持ちようでなんとかなる次元ではないのだ。だが、妻はそう見ていないようだった。病気になったのは気の持ちようだし、病院に行っている限りは治らない、と言われた。こればかりはなってみないとわからない部分だし、なったことの無いひとに理解してくれ、というのも難しい話なのかもしれない。

 

幸いにして今のぼくは朝も起きれているし、街に出たり、本を読んだりすることもできるようになってきた。ただ、生産性が無いことに変わりは無いし、妻も今のぼくを認めてくれていないと思う。