20171020(2)

辛い。ここのところ辛い気持ちでいっぱいだ。原因が何かは分からない。

妻に言われて、ここ2週間ほど薬をやめていた。そのせいだろうか。病院嫌いの妻に言わせれば、病院に通っている間は鬱病が治ることはないだろう、とのこと。確かに病院に行けば鬱だと診断され薬が処方される。薬が出れば立派な病人の出来上がりである。一応は納得できる話だし、従ってみた。でも無理かもしれない。

死にたい気持ちが無いと言えば嘘になる。死にたくないわけではなく、死んで楽になりたいわけでもない。ただ、それ以外の選択肢が見つからない。

ぼくは大学生の頃に死にかけたことがある。サークルで海に行って溺れた。同じく溺れた友達は死んでしまったから、ぼくはかなり悪運が強かったのだと思う。死にたくなかった。

死んだ友達は夢に出てきた。海草にまみれた恐ろしい姿だった。その友達の葬儀に行った。行くのは怖かった。友達の親からしてみれば、ぼくの方が死んでてもおかしくなかったし、その方がよかったと思われているだろうと思った。でも違った。そういう運命だったのだろうと言ってくれた。救われた気がした。そして、そいつの分まで生きなければ、と思った。ぼくほそのときの義務感で、まだ死なないでいるだけなのかもしれない。

こっそり残していた薬を飲んだ。明日は病院に行こうと思う。妻は薄々、ぼくが鬱に逃げていると思うようになってきている。ぼくだって逃げたくて逃げているわけではない。ただ、いまいるのは井戸の底で、抜け出す方法が分からないだけだ。


鬱は逃げなのだろうか。健康なひとから、特に頑張って生きているひとからすればそうなのかもしれない。でもぼくの実感は違う。逃げているのではなく、それしか見えなくなっているのだ。だから、逃げていると思われるのは辛い。

心が休まる場所がなくなっているように思う。